「ブラックブラッドブラザース 5」あざの耕平 著 富士見ファンタジア文庫
BBBの第五巻です。
短編一冊とコジローの過去話(四巻)とつづいてすっかりメインストーリーを忘れてましたが、三巻の大事件終結から一年。特区にまたもや魔の手が伸びます。
今回は、政治やカンパニーの存在意義なんかも含めておじさんたちが大活躍です。
あと三巻ぐらいはドロドロとした話が続きそう。
「雷轟 rolling thunder PAX JAPONICA 」押井守 著 エンターブレイン
押井守のハードカバー小説。
二次大戦で日本が連合側について大勝利。な前提で勧められる架空戦記らしいです。
一巻では歴史の分岐点、南北戦争と日本の参戦しているベトナム戦争の爆撃機の短編二本。
巻末(というか後半)に収録の対談をみると連作短編として書きたいようだけれど絶対続きが出ない方に賭けてみよう。押井だし。
押井守の回りくどい文体が大好きな人にお勧めです。
「皇国の守護者 1〜9」佐藤大輔 著 C・ノベルズファンタジア
架空戦記ファンタジー風味。です。
もともと、小説原作の同コミックがスーパジャンプコミックから出てます。
そっちがおもしろかったので小説も購入。
性格の悪い主人公、新城大尉が負け戦の中で大活躍。でも皇国は負けっ放し。日本人なので負け戦で活躍する話は大好きなんですけどね。
サーベルタイガーや翼竜、超能力者は出てきますが、世界観はおおむね19世紀末。
騎兵とマスケット銃兵が大活躍です。最近南北戦争やらナポレオン戦争やらのサイトを見たばかりなので基礎知識は十分。たのしめました。
原作はちと読みにくい部分もあるので、コミック版がおすすめですよ。
小説「GOSICK―ゴシック」桜庭 一樹著 富士見ミステリー文庫
普段全く気にとめない富士見ミステリー文庫です。
某所で「キャラ設定とストーリーで2度おいしい」と噂を聞いたので。
たしかに、ヒロインは「塔の上に閉じこめられた、フランス人形のようなお姫様」ですよ。パイプを吹かしながら「混沌の再構成を始めようじゃないか」とか言いますが。
時代は1924年。ヨーロッパの小国の私立学園が舞台です。推理小説やミステリーにぴったりの時代ですね。わくわくさせます。
ストーリーは2重構成。過去と現在がリンクしながら人物が、想いが重なっていく。そして、ラストにもう一層の「真実」が重なってきます。この辺は秀逸。
全体的に「ライトノベル臭さ」があって展開の荒さも気になりますが、ラスト30ページのために買っても良いと思います。
購入者のほとんどが表紙イラストで買ってるんじゃ無かろうか。と。
富士見のイラストにしてはしっかりしてて良いと思いますよ。
正直、途中の文章は平凡でキャラ萌えでもしないとやってられないんですが、最後、世界大戦の予言に持って行くとは。
高校時代に日本史をやって以来、まともに歴史を勉強してなかったので最後のオチには気が付きませんでした。
ライノベ紹介
「空ノ鐘の響く惑星で」渡瀬草一朗 著 電撃文庫
とりあえず、2巻まで読了。
地球でないどこかの星の中世風の王国での物語。
設定を見るとどこかで見たようなある意味、理解しやすい物なのに、その切り口、語り口が斬新でおもしろいです。
2巻まではほぼ王国の第4王子の視点で話が進んでいます。冒頭、月の形やその風習で異世界物とわかりつつも、王室の内部事情や宗教の設定の話がつづきます。
で、普通のファンタジー物(魔法はないみたいですが)と思わせておいて、いきなり異世界トラベル物へ梶を切るあたり、ただものではありません。
1巻のラストなんて、「これは2巻を読まざるを得ない」ぐらいの引きの良さです。2巻では主人公の周りの状況が動き始めたばかりで、設定のおもしろさの半分も使ってないんじゃないでしょうか?
長期連載でじっくりと書き進めて欲しいですね。
寝たバレ
も一つおもしろいのが、「来訪者」と呼ばれる地球からの転送組の存在なんですが。
普通はこちらを主人公にして、異世界探検ものにするところを、どうにも未来技術っぽい知識満載の地球人達が顔見せだけで2巻現在行方不明。
2巻末ではこの世界が「作られたor管理された」世界っぽいという流れにしておいて続かせるあたり、ファンタジー好きだけではなくてSF者の興味も引いてますよ。
あまりに放置しすぎました。エントリー見えないし。
と、言うわけでリハビリもかねていろいろと本を買い込んできました。
「ライトノベル完全読本vol2」
「このライトノベルがすごい!」
どちらも解説本ですね。
ランキングは「すごい」が一部のコアな読者の投票、「読本」は売り上げベースなのかな?という印象です。
ライノベ事情を全く知らないなら、薄く広く解説のある「すごい!」を。
作者対談なんぞも気になるのなら「読本」を購入すればよいかと思います。
とりあえず、「読本vol2」の新城カズマ氏の前書きがかっこいいので、立ち読みだけでもし説くべきです。含蓄のあるようなインテリゲンチャな文章を書かせたらライノベ界いちですな。
とりあえず、近所のブックオフから「今時の」本を見繕ってきたので年末年始に読んでみます。
今年の星雲賞の速報がでてるようです。
あ〜、SF大会の読者賞的なものなので、この選考は妥当かと。
小川一水はライトノベルからスタートしてSF読者層を広げたっていう功績は大きいと思います。
小説はおもしろいけど、連続受賞するほどのものかというと・・・
SF大会行きたい。が、岐阜か・・・
フジテレビの深夜バラエティ創世記の傑作、カノッサの屈辱の公式ムックが復刊ドットコムで再販決定らしいです。
15年ぐらい前ですか?
わたしが、コンビニ商品の歴史やマイナージュースに興味を持った原因のひとつかもしれないです。
初めてみたのはカップめんの回だったかな?
「我語りて世界あり」 神林長平 著 ハヤカワ文庫JA
仕事が猛烈に忙しかったので、本屋でSF文庫を買いあさり。
で、移動中にちまちま読んでいた1冊目をやっと読了しましたよ。
連作短編集です。
人々がネットに接続して、「自己と他者の境界があいまい」になるていどの未来の日本。
3人の子供がジャンクヤードから拾ってきた思考機械の記憶を覗くところから話は始まり・・・
久しぶりに読んだ神林作品ですが、切れ味のある言語感覚と、「言葉と存在」に対するこだわりは相変わらずですね。とても楽しく読めました。
たぶん、この作品を執筆当初、90年初頭に読んでいたらかなり混乱しだろうと思います。ただ、2004年の今の自分は毎日ネットワークを使用し、携帯で連絡をとり、娯楽としてのSFアクションでも「ネットワークを使った交流とその先にあるもの」を扱う作品があったりして。この作品を理解するための地盤ができているってことかと思います。
すごいAIが出てきたり、猫が居たり、現実と仮想の境界があいまいになったりと、神林小説の基本がそろっているので、ほかの作品が好きな方はぜひ一読を。
で、始めの紹介を書いてて気が付いたんだけれど、「個人の経験が共有され、自己と他者の区別がつかなくなった未来」って、「攻殻機動隊」by士郎正宗の世界の延長線上ですね。
読んでいる時の感覚はまったく違うけれど。
攻殻〜はSFとしてのみ存在可能なストーリー展開だけれど、我ありて〜は設定が未来ではなくファンタジーの魔法世界でも話が成り立つ。科学技術が魔法と見分けがつかない世界での物語。そんな受け止め方をしてみた。
もうひとつ、作中で繰り返し語られてる「言葉によって存在を認められること」というのもネットワークが身近になった現在では興味深い。ネットワーク越しの人間関係は「言葉」のみで自分を構成しなければならない。ってあたりに類似して自分の環境と比較してみたり。いい格好しすぎてないか、情報をググりながらしったかぶりしてないか。相手が存在を認めているのは「作られた虚像の自分」かもしれないね。
ブロードバンドで音声や動画でのコミュニケーションが一般化するまでの話かもしれないけどね。
「ハイウイング・ストロール」小川一水 著 ソノラマ文庫
ハードSFからおちゃらけライトノベルまで安定して書ける著者の新作です。
レシプロ機でモンスターを狩って生計を立てているハンターになった若者の成長を書く物語。なんですが。
実際のところ、世界観はMMOです。しかも「RO」あたりのひたすら狩りまくり系。ハンターがいてギルド(NPC?全員ロリっぽい女だ!)があって、次々と沸いてくるモンスターを倒して機体をレベルアップさせる。そんな生活。そこには、ハンター同士の交流や対立があって、「ソロ」で活躍するハンターが居る一方「パック」と呼ばれるパーティを組んで二つ名を持つモンスターを倒しにいく連中も居る。
MMOにはまっている最中だ!という方は是非読んでみてください。MMOのたくさんのすばらしさとちょっとの理不尽さに気が付けると思います。
MMO特有のパターンが出てくるのがちょっと楽しかったり。
重装甲の機体が敵をひきつけて「トレイン」してみたり、横殴りされて「ノーマナー」批判したり。
改めて小説になるとMMOの常識のいびつさというか、独特さが見えてきて面白いですね。
ラストの急展開にはかなり無理があるような気もするけれど、MMO参加者がノリノリで付き合ってるという風に見れば問題なし。楽しい町襲撃&ボス狩りイベントだったのでしょう。
「ダンジョンズ&ドリーマーズ」ブラッド・キング/ジョン・ボーランド 著 平松徹 訳 ソフトバンク
久しぶりにノンフィクションを購入。副題は「ネットゲームコッミュニティの誕生」です。ネトゲにハマリ気味なのでタイムリーな話題ですね。
内容としては、TRPGダンジョンズ&ドラゴンズとコンピュータに出会ったリチャード”ロード・ブリティッシュ”ギャリオットがウルティマを製作する場面から始まり、「DOOM」「Quake」「ウルティマオンライン」までの米国ゲームコミュニティとネットゲームの変革を3人のゲームデザイナーを通して語る。といったものです。
ある程度ゲームの基礎知識がないと読みにくいのですが、ゲーマーにとってもっともエキサイティングな時代を歴史的資料として、本として残すというのはとても有意義なことだと思います。「アップル][」「TRPG」「インターネット」「MMORPG」といったキーワードを聞いてわくわく出来る人には是非オススメの本です。
改めて思うのはネットゲーム、特にウルティマオンラインをはじめとする、MMORPGの奥の深さ。本書ではこんなプレイヤーのエピソードが取り上げられています。
レベル上げやPKにも嫌気がさして、とある酒場を買い取り、バーテンダーとしての(ゲーム内)人生を歩んでいたプレイヤーが「プレイヤーはキャラクターを演じているのだから、さらに演劇の登場人物を演じても良いはずだ」と発案。クリスマスイブに2時間の『クリスマスキャロル』を上演して好評を得た。
ここで面白いのはUOの世界では演劇用の衣装もあれば、舞台装置の設置も観客席の準備も可能だったこと。当然、UOの開発者は「ゲーム内で演劇上演」なんて想定していたわけではないと思います。が、プレイヤーがなるべく多くのことが出来るような自由を提供していた。
MMOの醍醐味はこの自由度の高さにこそあると思うのです。
この本を読んで、初めてTRPG(確かトンネルズ&トロールズ)や、近所のゲームコンベンション会場でアップル][で動くウルティマ1に出会ったときの興奮、ネットハックをプレイしつづけてアスキーコードが薄暗いダンジョンやモンスターに見えてくる感覚を思い出してしまいました。
TRPGは2年近くも毎週のようにキャンペーンを続けて第2の人生を築きあげましたし、Jネットハックは当時日本でやっと普及してきたインターネット場のコミュニティーに触れる機会を得ることが出来ました。それらは未完成で不安定なものだけれど、「新しい何か」を感じさせるもので。
この本を楽しめるのは、そんな自分の「ゲーム体験」と重ね合わせて読んでいるからかもしれません。
話は変わって、
米国では90年代後半から始まったゲームコミュニティやLANパーティーといったムーブメントを知る資料としてもなかなか興味深いです。日本とはまた違ったゲーム文化ですね。日本では米国とは違った形でゲームコミュニティが形成されていると感じます。それは、ゲームセンターでの格闘ゲームやSTGを中心とした集まりであったりTRPGサークル、そして最近のMMOネットゲームのギルドサイトだったりするのかと?
なかなかサブカルチャーあつかいから抜け出せないゲーム文化ですが、ゲームを通じた交流を体験した世代が増えていくにしたがって扱いも変わってくるとよいなぁ。
以上、トテモ面白くて考えさせる内容の本だったので長文を書いてしまいました。
「撲殺天使ドクロちゃん3」おかゆまさき著 電撃文庫
発売の度に販売記録をつくってしまう、ドクロちゃんですがあっという間に3巻です。
内容は相変わらずで、ドタバタすぷらったコメディなのですが、あとがきに気になる情報を発見。
作者曰く、ファンレターの中の共通する話題に
「最近『ドクロちゃん』がクラスで流行ってるんです!」
というのがあるそうで。
そうです。ドクロちゃんは一見、20代後半オタ向けライトノベルだと思いきや中高生も大絶賛の小説だったのです。
言われて見れば、少年誌のギャグにありがちな「ノリツッコミ」がメイン。
ついでに「アタック25」だの「パジェロ!パジェロ!」だの世代共通のネタを選んでるようにも見える。
ノリだけで書いてるように見えて、実はリサーチ十分?
#オタ向けのキーワードも満載なんですけどね。